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山月記(その2)

原标题:山月記(その2)

表現よみ:森下潤子

今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼 めを覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻 しきりに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。無我夢中で駈けて行く中に、何時 いつしか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫 つかんで走っていた。何か身体 からだ中に力が充 みち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。気が付くと、手先や肱 ひじのあたりに毛を生じているらしい。少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。自分は初め眼を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。どうしても夢でないと悟らねばならなかった時、自分は茫然 ぼうぜんとした。そうして懼 おそれた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く懼れた。しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判 わからぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。自分は直 すぐに死を想 おもうた。しかし、その時、眼の前を一匹の兎 うさぎが駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗 まみれ、あたりには兎の毛が散らばっていた。これが虎としての最初の経験であった。それ以来今までにどんな所行をし続けて来たか、それは到底語るに忍びない。ただ、一日の中に必ず数時間は、人間の心が還 かえって来る。そういう時には、曾ての日と同じく、人語も操 あやつれれば、複雑な思考にも堪え得るし、経書 けいしょの章句を誦 そらんずることも出来る。その人間の心で、虎としての己 おのれ残虐 ざんぎゃく行 おこないのあとを見、己の運命をふりかえる時が、最も情なく、恐しく、憤 いきどおろしい。しかし、その、人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己 おれはどうして以前、人間だったのかと考えていた。これは恐しいことだ。今少し経 たてば、己 おれの中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋 うもれて消えて了 しまうだろう。ちょうど、古い宮殿の礎 いしずえが次第に土砂に埋没するように。そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人 ともと認めることなく、君を裂き喰 くろうて何の悔も感じないだろう。一体、獣でも人間でも、もとは何か他 ほかのものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか? いや、そんな事はどうでもいい。己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。ああ、全く、どんなに、恐しく、哀 かなしく、切なく思っているだろう! 己が人間だった記憶のなくなることを。この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。己と同じ身の上に成った者でなければ。ところで、そうだ。己がすっかり人間でなくなって了う前に、一つ頼んで置きたいことがある。

はじめ一行は、息をのんで、叢中 そうちゅうの声の語る不思議に聞入っていた。声は続けて言う。

他でもない。自分は元来詩人として名を成す積りでいた。しかも、業未 いまだ成らざるに、この運命に立至った。曾て作るところの詩数百篇 ぺん固 もとより、まだ世に行われておらぬ。遺稿の所在も最早 もはや判らなくなっていよう。ところで、その中、今も尚 なお 記誦 きしょうせるものが数十ある。これを我が為 ために伝録して戴 いただきたいのだ。何も、これに仍 よって一人前の詩人面 づらをしたいのではない。作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂わせてまで自分が生涯 しょうがいそれに執着したところのものを、一部なりとも後代に伝えないでは、死んでも死に切れないのだ。

は部下に命じ、筆を執って叢中の声に随 したがって書きとらせた。李徴の声は叢の中から朗々と響いた。長短凡 およそ三十篇、格調高雅、意趣卓逸、一読して作者の才の非凡を思わせるものばかりである。しかし、袁は感嘆しながらも漠然 ばくぜんと次のように感じていた。成程 なるほど、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるのには、何処 どこか(非常に微妙な点に於 おいて)欠けるところがあるのではないか、と。

旧詩を吐き終った李徴の声は、突然調子を変え、自らを嘲 あざけるか如 ごとくに言った。

羞 はずかしいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己 おれは、己の詩集が長安 ちょうあん風流人士の机の上に置かれている様を、夢に見ることがあるのだ。岩窟 がんくつの中に横たわって見る夢にだよ。嗤 わらってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。(袁は昔の青年李徴の自嘲癖 じちょうへきを思出しながら、哀しく聞いていた。)そうだ。お笑い草ついでに、今の懐 おもいを即席の詩に述べて見ようか。この虎の中に、まだ、曾ての李徴が生きているしるしに。

は又下吏に命じてこれを書きとらせた。その詩に言う。

偶因狂疾成殊類 災患相仍不可逃

今日爪牙誰敢敵 当時声跡共相高

我為異物蓬茅下 君已乗気勢豪

此夕渓山対明月 不成長嘯但成

次回は中島敦の《山月記》((その3))をお楽しみに

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